コッククロフト・ウォルトン昇圧回路(1段)の計算にて、電圧の上昇が等比数列であることを見出して、電圧の最終値を求めることができた。
今度は(2段)で試した。結論としては、電圧上昇が数列となることを見出すことができなかった。計算間違いかな。
0.回路は左図のようなものであり、正負電源(±Vo)のスイッチを切り替えてコンデンサ・ダイオード段へ電圧を印加するようになっている。
なお、コンデンサC1~C4の静電容量は全てCとし、C1~C4の電圧をV1~V4と表記する。
1.まず、正電源(上側)にスイッチを切り替ると、順方向電圧が掛かるダイオードD1がONになり、V1=VoとなるまでコンデンサC1が充電される。
充電量は、Q1=CVo となる。
また、V1=Voとなる。
2.次に、電源を負電源(下側)に切り替えると、D1には電源電圧とC1の電圧V1=Voを合計した2Voの逆方向電圧が掛かってOFFになり、D2は順方向電圧となってONになる。C1の+極にあった電荷CVoの一部は、C2の充電に使われる(電荷保存則)。
このとき成立する式は、
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo・・・(1)
(電源Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q1+CVo=CVo
Q1=0
Q2=CVo-Q1=CVo
また、V2=Voとなる。
3.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、D1はONになりC1が充電され、D2はOFFになる。C2には電荷CVo及び電圧Voがあり、C3にはまだ電荷も電圧もないため、D3は順方向電圧となってONになり、C2の電荷の一部はC3の充電に使われる。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=CVo
Q2=(1/2)CVo
Q3=Q2=(1/2)CVo
また、V2=V3=(1/2)Voとなる。
4.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、D2がONとなってC1の電荷の一部でC2が充電される。またD4がONとなってC3の電荷の一部でC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(1/2)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=(3/2)CVo
Q1=(1/4)CVo
Q2=CVo+Q1=(5/4)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(1/2)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(1/2)CVo
Q3=(1/4)CVo
Q4=Q3=(1/4)CVo
また、V3=V4=(1/4)Voとなる。
5.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(5/4)CVo+(1/4)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(6/4)CVo
Q2=(3/4)CVo
Q3=Q2=(3/4)CVo
また、V2=V3=(3/4)Voとなる。
6.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(3/4)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(3/4)CVo
Q1=(3/8)CVo
Q2=CVo+Q1=(11/8)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=CVo
Q3=(1/2)CVo
Q4=Q3=(1/2)CVo
また、V3=V4=(1/2)Voとなる。
7.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(11/8)CVo+(1/2)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(15/8)CVo
Q2=(15/16)CVo
Q3=Q2=(15/16)CVo
また、V2=V3=(15/16)Voとなる。
8.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(15/16)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(15/16)CVo
Q1=(15/32)CVo
Q2=CVo+Q1=(47/32)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(15/16)CVo+(1/2)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(23/16)CVo
Q3=(23/32)CVo
Q4=Q3=(23/32)CVo
また、V3=V4=(23/32)Voとなる。
9.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(47/32)CVo+(23/32)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(70/32)CVo
Q2=(35/32)CVo
Q3=Q2=(35/32)CVo
また、V2=V3=(35/32)Voとなる。
10.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(35/32)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(35/32)CVo
Q1=(35/64)CVo
Q2=CVo+Q1=(99/64)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(35/32)CVo+(23/32)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(58/32)CVo
Q3=(29/32)CVo
Q4=Q3=(29/32)CVo
また、V3=V4=(29/32)Voとなる。
11.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(99/64)CVo+(29/32)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(157/64)CVo
Q2=(157/128)CVo
Q3=Q2=(157/128)CVo
また、V2=V3=(157/128)Voとなる。
12.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(157/128)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(157/128)CVo
Q1=(157/256)CVo
Q2=CVo+Q1=(413/256)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(157/128)CVo+(29/32)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(273/128)CVo
Q3=(273/256)CVo
Q4=Q3=(273/256)CVo
また、V3=V4=(273/256)Voとなる。
13.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(413/256)CVo+(273/256)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(686/256)CVo
Q2=(343/256)CVo
Q3=Q2=(343/256)CVo
また、V2=V3=(343/256)Voとなる。
14.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(343/256)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(343/256)CVo
Q1=(343/512)CVo
Q2=CVo+Q1=(855/512)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(343/256)CVo+(273/256)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(616/256)CVo
Q3=(308/256)CVo=(77/64)CVo
Q4=Q3=(77/64)CVo
また、V3=V4=(77/64)Voとなる。
15.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(855/512)CVo+(77/64)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(1471/512)CVo
Q2=(1471/1024)CVo
Q3=Q2=(1471/1024)CVo
また、V2=V3=(1471/1024)Voとなる。
16.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2とC4が充電される。
このとき成立する式は、
【C1、C2につき】
(電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(1471/1024)CVo・・・(1)
(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)
CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'
(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(1471/1024)CVo
Q1=(1471/2048)CVo
Q2=CVo+Q1=(3519/2048)CVo
【C3、C4につき】
(電荷保存則により)
Q3+Q4=(1471/1024)CVo+(77/64)CVo・・・(1)
(C3~D4~C4の閉回路の電圧合計は0により)
(Q3/C)+(-Q4/C)=0・・・(2)
Q3-Q4=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q3=(2703/1024)CVo
Q3=(2703/2048)CVo
Q4=Q3=(2703/2048)CVo
また、V3=V4=(2703/2048)Voとなる。
17.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1とC3が充電される。
このとき成立する式は、
【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo
【C2、C3につき】
(電荷保存則により)
Q2+Q3=(3519/2048)CVo+(2703/2048)CVo・・・(1)
(C2~D3~C3の閉回路の電圧合計は0により)
(Q2/C)+(-Q3/C)=0・・・(2)
Q2-Q3=0・・・(2)'
(1)+(2)'
2Q2=(6222/2048)CVo
Q2=(3111/2048)CVo
Q3=Q2=(3111/2048)CVo
また、V2=V3=(3111/2048)Voとなる。
上記の計算結果について、C1~C2の電荷をCで割ったもの(=電圧)を下表に示す。
スイッチ=上側 | |||
V1 | V2 | ||
値 | 差分 | 値 | 差分 |
Vo | - | 0 | - |
Vo | 0 | (1/2)Vo | (1/2)Vo |
Vo | 0 | (3/4)Vo | (1/4)Vo |
Vo | 0 | (15/16)Vo | (3/16)Vo |
Vo | 0 | (35/32)Vo | (5/32)Vo |
Vo | 0 | (157/128)Vo | (17/128)Vo |
Vo | 0 | (343/256)Vo | (29/256)Vo |
Vo | 0 | (1471/1024)Vo | (99/1024)Vo |
Vo | 0 | (3111/2048)Vo | (169/2048)Vo |
スイッチ=上側 | |||
V3 | V4 | ||
値 | 差分 | 値 | 差分 |
0 | - | 0 | - |
(1/2)Vo | (1/2)Vo | 0 | 0 |
(3/4)Vo | (1/4)Vo | (1/4)Vo | (1/4)Vo |
(15/16)Vo | (3/16)Vo | (1/2)Vo | (1/4)Vo |
(35/32)Vo | (5/32)Vo | (23/32)Vo | (7/32)Vo |
(157/128)Vo | (17/128)Vo | (29/32)Vo | (3/16)Vo |
(343/256)Vo | (29/256)Vo | (273/256)Vo | (41/256)Vo |
(1471/1024)Vo | (99/1024)Vo | (77/64)Vo | (35/256)Vo |
(3111/2048)Vo | (169/2048)Vo | (2703/2048)Vo | (239/2048)Vo |
スイッチ=下側 | |||
V1 | V2 | ||
値 | 差分 | 値 | 差分 |
0 | - | Vo | - |
(1/4)Vo | (1/4)Vo | (5/4)Vo | (1/4)Vo |
(3/8)Vo | (1/8)Vo | (11/8)Vo | (1/8)Vo |
(15/32)Vo | (3/32)Vo | (47/32)Vo | (3/32)Vo |
(35/64)Vo | (5/64)Vo | (99/64)Vo | (5/64)Vo |
(157/256)Vo | (17/256)Vo | (413/256)Vo | (17/256)Vo |
(343/512)Vo | (29/512)Vo | (855/512)Vo | (29/512)Vo |
(1471/2048)Vo | (99/2048)Vo | (3519/2048)Vo | (99/2048)Vo |
スイッチ=下側 | |||
V3 | V4 | ||
値 | 差分 | 値 | 差分 |
0 | - | 0 | - |
(1/4)Vo | (1/4)Vo | (1/4)Vo | (1/4)Vo |
(1/2)Vo | (1/4)Vo | (1/2)Vo | (1/4)Vo |
(23/32)Vo | (7/32)Vo | (23/32)Vo | (7/32)Vo |
(29/32)Vo | (3/16)Vo | (29/32)Vo | (3/16)Vo |
(273/256)Vo | (41/256)Vo | (273/256)Vo | (41/256)Vo |
(77/64)Vo | (35/256)Vo | (77/64)Vo | (35/256)Vo |
(2703/2048)Vo | (239/2048)Vo | (2703/2048)Vo | (239/2048)Vo |
今回は、値やその差分が数列のようにはならなかった。よって、電圧の最終値を求めることができない。残念。
(おわり)