コッククロフト・ウォルトン昇圧回路(1段)の充電過程をゼロから計算してみる(11回目くらいまで)

 コッククロフト・ウォルトン昇圧回路は、「低圧の交流電圧もしくはパルス直流電圧を入力として、高圧の直流電圧を生成する電気回路」である。(Wikipediaより)

 また、東京大学の2011年度入学試験問題にも出題された。「東京大学」「試験」「2011」「物理」「コッククロフト」等で検索すれば問題と回答例が得られる。
(東大へ申告書を出さないといけないため掲載は省略)

 この回路につき、数列を用いてスマートに解いている事例もみられるが、難解であるため、ゼロから充電したらどうなるか計算し、数列であることを見出して充電回数が→∞の時の状態を想定することにした。

 

f:id:Ryo9508:20200723144639p:plain0.回路は左図のようなものであり、正負電源(±Vo)のスイッチを切り替えてコンデンサダイオード段へ電圧を印加するようになっている。

 なお、コンデンサC1~C4の静電容量は全てCとし、C1~C4の電圧をV1~V4と表記する。 

 

 

 

 

f:id:Ryo9508:20200723145203p:plain1.まず、正電源(上側)にスイッチを切り替ると、順方向電圧が掛かるダイオードD1がONになり、V1=VoとなるまでコンデンサC1が充電される。

 充電量は、Q1=CVo となる。

 また、V1=Voとなる。

 

 

 

2.次に、電源を負電源(下側)に切り替えると、D1には電源電圧とC1の電圧V1=Voを合計した2Voの逆方向電圧が掛かってOFFになり、D2は順方向電圧となってONになる。C1の+極にあった電荷CVoの一部は、C2の充電に使われる(電荷保存則)。

f:id:Ryo9508:20200723145458p:plain このとき成立する式は、

電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo・・・(1)

(電源Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)

CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'

(1)+(2)'
2Q1+CVo=CVo
Q1=0

Q2=CVo-Q1=CVo

また、V2=Voとなる。

 

3.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、D1はONになりC1が充電され、D2はOFFになる。

f:id:Ryo9508:20200723150917p:plain このとき成立する式は、

【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo

【C2につき】
電荷は保存され、Q2=CVo

 

 

 

4.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、D2がONとなってC1の電荷の一部でC2が充電される。

 

f:id:Ryo9508:20200723151400p:plain このとき成立する式は、

【C1、C2につき】
電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+CVo・・・(1)

(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)

CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'

(1)+(2)'
CVo+2Q1=2CVo
Q1=(1/2)CVo

Q2=CVo+Q1=(3/2)CVo

 

 5.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723151914p:plain このとき成立する式は、

【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo

【C2につき】

電荷は保存され、Q2=(3/2)CVo

 

 

 

6.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723152336p:plain このとき成立する式は、

【C1、C2につき】
電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(3/2)CVo・・・(1)

(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)

CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'

(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(3/2)CVo
Q1=(3/4)CVo

Q2=CVo+Q1=(7/4)CVo

 

7.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723194148p:plain このとき成立する式は、

【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo

【C2につき】

電荷は保存され、Q2=(7/4)CVo

 

 

 

8.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723194518p:plain このとき成立する式は、

【C1、C2につき】
電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(7/4)CVo・・・(1)

(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)

CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'

(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(7/4)CVo
Q1=(7/8)CVo

Q2=CVo+Q1=(15/8)CVo

 

9.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723195009p:plain このとき成立する式は、

【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo

【C2につき】

電荷は保存され、Q2=(15/8)CVo

 

 

 

10.再び電源を負電源(下側)に切り替えると、C2が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723195304p:plain このとき成立する式は、

【C1、C2につき】
電荷保存則により)
Q1+Q2=CVo+(15/8)CVo・・・(1)

(Vo~C1~D2~C2の閉回路の電圧合計は0により)
Vo+(Q1/C)+(-Q2/C)=0・・・(2)

CVo+Q1-Q2=0・・・(2)'

(1)+(2)'
CVo+2Q1=CVo+(15/8)CVo
Q1=(15/16)CVo

Q2=CVo+Q1=(31/16)CVo

 

11.再び電源を正電源(上側)に切り替えると、C1が充電される。

f:id:Ryo9508:20200723195701p:plain> このとき成立する式は、

【C1につき】
Voで充電されるのみであり、Q1=CVo

【C2につき】

電荷は保存され、Q2=(31/16)CVo

 

 

 上記の計算結果について、C1~C2の電荷をCで割ったもの(=電圧)を下表に示す。

スイッチ=上側 スイッチ=下側
V1 V2 V1 V2
電圧 差分 電圧 差分 電圧 差分 電圧 差分
Vo 0 0 Vo
Vo 0 Vo Vo (1/2)Vo (1/2)Vo (3/2)Vo (1/2)Vo
Vo 0 (3/2)Vo (1/2)Vo (3/4)Vo (1/4)Vo (7/4)Vo (1/4)Vo
Vo 0 (7/4)Vo (1/4)Vo (7/8)Vo (1/8)Vo (15/8)Vo (1/8)Vo
Vo 0 (15/8)Vo (1/8)Vo (15/16)Vo (1/16)Vo (31/16)Vo (1/16)Vo
Vo 0 (31/16)Vo (1/16)Vo        

 

 各段階において、前段階からの「差分」をとると等比数列となっているので、電圧値は等比数列の和で表される。

 「スイッチ=上側」の「V2」の「差分」は
ΔV2=Vo×(1/2)^(n-1)であり、これは初項a=Vo、公比r=1/2の等比数列である。

V2は等比数列の和の公式(ar^n-a)/(r-1)から
V2=(Vo×(1/2)^n-Vo)/((1/2)-1)=2Vo(1-(1/2)^n)

(1/2)^∞=0であるから、V2の最終値は2Voとなる。

 また、V1の最終値はVoとなる。

(おわり)

 

クイズdeメンテ2012年04月~非常用発電機の励磁回路の動作

 (1):〇
I2=IR2-IT2、V2=Vu-Vwであるからベクトル図は下のようになり、電圧と電流が同位相ならI2とV2は同位相である。

f:id:Ryo9508:20200614095949j:plain

(2):〇
上のベクトル図により〇

(3):〇

(4):〇

負荷電流が大きくなるとI2が大きくなり、これは電流源であるからAVRのRの電圧を増大させ、励磁電圧および励磁電流を増加させる。

(5):×

出力電圧が大きくなった時にAVRのRを増加させれば、I2は電流源であるから励磁電圧は高くなり、出力電圧はさらに高くなる。NegativeFeedbackになっていないので×。

 

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クイズdeメンテ2012年03月~同期検定装置の動作

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手書きではどうにもならなかったので、excelに描いてもらった。

(1):〇
上の図で、上から順番に明るくなっていくのでL1→L2→L3の順である。

(2):〇
上の図と逆になるので。

(3):〇
上の図がまさにその状態である。

(4):×
上の図をちょっとずらした図になるので、どれも中途半端に点灯するはず。

(5):×
上の図で、位相が180°ずれた場合の「線間電圧」であるから、2は掛けない。

 ーーー

正解は、(1)と(2)も×であった。正解はこちら。

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クイズdeメンテ2012年02月~PASの動作説明

(1):×
C2は、整流ダイオードと抵抗を介してVT2次に接続されているから、X1リレーの動作いかんにかかわらず、通常は充電されている。

(2):〇

(3):×
トリップコイルを動作させるのは、C1の電荷が無くなってX1接点が閉じた後のC3である。

(4):〇

(5):〇

 ーーー

と思ったが違った。

(1)は〇(理由は不明)

(3)は×で正解だが、トリップコイルの電源はC2で、C3はVT2次電圧喪失後もX2の励磁を継続するための電源。 

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モバイルsuicaを作るのにビックカメラsuicaカードを作る必要はなかった(勘違い)

九州在住なのだが、財布軽薄化のためnimocaカードを減らしてモバイルsuicaを作ろうとした。

チャージのためのクレジットカードが要るんだろうと思い、ビックカメラsuicaカードを作った。

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しかし、いろいろと勘違いがあり、

(1)ビックカメラsuicaカードのsuicaiPhoneのWallet(Apple Pay)には取り込めず、別名義のモバイルsuicaを作る必要があったので、このカードを作る必要はなかった。

http://appsuica.okbiz.okwave.jp/faq/show/2722?category_id=46&site_domain=default

(2)モバイルsuicaへのチャージはsuica付きクレジットカードだけでなく、一般のクレジットカードで出来た。

(3)オートチャージが九州の改札機で出来ないことは知っていた。従って(2)によりこのカードを作る必要はなかった。

(4)ビックカメラの買い物でポイントが10%付くが、福岡天神にしかなくめったに行かない。

(5)suicaチャージでJREポイントが1.5%貯まる。貯まればsuicaにチャージできる(モバイルsuicaではなくカードのsuica?)。結局このカードを作ったメリットはこれだけ。

ということで、ビックカメラsuicaカードを作る必要はなかった。

 

クイズdeメンテ2012年01月~変圧器の誤結線

単相変圧器の変圧比は(210/6600)である。
(1):〇
この場合は一次電圧の相電圧が二次の線間電圧となるから、
二次電圧=6600/sqrt(3)×(210/6600)=210/sqrt(3)=121V

(2):×
(1)とは逆に、二次電圧=210sqrt(3)となる

(3):×
変圧比どおり、二次電圧=210Vとなる

(4):×
(5):〇
「(1)」である場合、ベクトル図は下図のようになり、二次電圧は一次電圧より30°遅れる

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高圧受電設備の地絡検出用の計器用変圧器(ZPC)の試験電圧がE(=3,810V)であることを、アホのように対称座標法を適用して証明する

GR(地絡継電器)の零相電圧入力に用いているZPC(計器用変圧器)の試験は、高圧端子を三相短絡して3,810Vを印加して行う。

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なぜ3,810Vで良いのか謎だったのだが、意を決してアホのように対称座標法を適用して計算してみた。

ZPCの出力電圧は、一線地絡故障の際に100%となるように作られている。

 

【まずはZPCの対称座標法表現】

 (零相回路)

ZPCに零相電流Ioを流すと下図(左)のようになり、
Vao=Vbo=Vco=(1/(jωC1)+3/(jωC2))Io:Io=jω(C1C2)/(3C1+C2) ×Voとなって、等価回路は下図(右)のようになる。

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(正相、逆相回路)

ZPCに三相平衡なI1またはI2を流すと、中性点で電流は零となりC2には流れない。よって、
V1=1/(jωC1)I1:I1=jωC1V1、V2=1/(jωC1)I2:I2=jωC1V2

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【一線地絡事故の等価回路】

電源(発電機)の零相・正相・逆相等価回路は 以前にやった。
ryo-blackcomb.hatenablog.com

一線地絡故障の条件式は、
Ib=Ic=0により、Iao=Ia1=Ia2=(1/3)Ia
従って、対称座標法表現は、下図のように零相回路・正相回路・逆相回路の故障点引き出し端子を直列につないだ回路となる。
(2020.5.16:下図と最後の図に誤りがあったため差し替え)

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 ここで、電源は理想電源として内部インピーダンスZgo=Zg1=Zg2=0、電力会社の高圧供給は非接地系統であるためZgN=∞とする。

Io=jωC1C2/(3C1+C2) ×Ea、Vo=-Ea、V1=Ea、V2=0となる。

 

【ZPCのC2端子電圧】

上記一線地絡の状態のとき、ZPCのC2にはIa=Ia0+Ia1+Ia2=3I0が流れ、C2端子電圧は
①=3Io/(jωC2)=3/(jωC2)×jωC1C2/(3C1+C2) ×Ea=3C1/(3C1+C2) ×Eaとなる。(下図左)

一方、ZPC単体試験にて三相一括で試験電圧Vtestを加えると、C2端子電圧は分圧比計算により
②=(jωC2)^-1/((jω3C1)^-1+(jωC2)^-1)=3C1/(3C1+C2)×Vtestとなる。(下図右)

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①と②のC2端子電圧が同じとなるから、Vtest=Ea(=3,810V) となる。

(証明終り)

ーーーーーーーーーー

「アホのように計算してみる」と書いたのは、なんとなくベクトル作図で簡単に説明できそうだからであるが、それはよう分からん。

 

クイズdeメンテ2011年12月~電圧計切替スイッチVSの接点構成

 カムスイッチ接点右側(相電圧)は、R-S-Tが6-2-4番なので、(1)(2)(5)に絞られる。

接点左側は、丹念に見ていくと、(1)が正しい。

正解:(1)

 

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クイズdeメンテ2011年11月~地絡電流検出における2つのCT接続法

・一線地絡の故障計算は、最近やったので省略するが、
Ia=3I0、Ib=Ic=0となる。

ryo-blackcomb.hatenablog.com

・保護継電技術/電気書院によると、第1図(Y結線)の場合
Ia=I0+(      Ia1       +Ia2)
Ib=I0+(a^2Ia1     +aIa2)
Ic=I0+(     aIa1+a^2Ia2) のうち、
GRにはIa+Ib+Icの3I0が流れる。

・一方、第2図(三次零相分路)の場合三次巻線には零相電流I0が流れ、二次巻線には( )内の正相・逆相電流が流れる。

(1):〇
3I0=Ia=150Aなので、CT2次には1.5Aが流れる。

(2):〇
無負荷なのでOCRには電流が流れない。

(3):〇
I0=Ia=50Aなので、CT2次には0.5Aが流れる。

(4):×
OCRには正相・逆相電流が、GRには零相電流が流れる。

(5):〇

 無負荷なので等しいというかゼロである。

ーーー

と、思ったが、〇×は正解だったが、(5)は間違っていた。
第2図(三次零相分路)のCT電流は、各相の二次+三次電流が一次電流相当になるよう流れるので、以下のようになる。

CT    二次  三次
a相      1A  0.5A
b相 -0.5A  0.5A
c相 -0.5A  0.5A

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クイズdeメンテ2011年10月~受電設備における三相電圧の相順

(1):×

b-N-cは抵抗とコンデンサからなるので、電流ibの位相は電圧VSTに対して0°<arg(ib)<90°の進み電流となる。下図で適当にibを定める。b-Nは抵抗なので、電圧VbNは電流ibと同相である。同様に下図に書き込むと、電圧計の電圧VaNは電源の線間電圧110Vより大きくなる。

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(2):×

(1)と同様に、ibとVbNと電圧計の電圧VaNは下図のようになり、今度は電源の線間電圧110Vより小さくなる。

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(3):×

同様に、ibとVbNと電圧計の電圧VaNは下図のようになり、今度は電源の線間電圧110Vより大きくなる。

f:id:Ryo9508:20200330165030j:plain

(4):〇

(1)の図においてib=0、また電圧計の入力インピーダンスは十分大きくia=ib≒0であり、VRTを測っているのと同じになるから110Vとなる。

(5):〇

これまでと同様に、ibとVbNと電圧計の電圧VaNは下図のようになり、線間電圧の半分の50V程度となる。

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